▽ story

Logs
カーテンがゆらゆらと揺れる。風が窓を通して部屋の中へと入り込んでいるのは視覚的には窺えるが、実感が湧かずにいるくらいに室温は高い。決して広いとは言えないアパートの一室は、この日最高温度を記録しようとしていた。
アイスの棒を伝って果汁が人差し指を濡らす。アキはぺろりとすくい上げるようにして舐め上げると、足立は「わぁお、」と声を上げた。足立がいかにも、を想像した事を悟ったアキは、汗で湿った掌を握って足立の背中を小突いた。
「私のペルソナが氷属性だったら喜んでカキ氷の大量生産を図るのになあ。千枝とクマなら賛成してくれると思うんですよね。」
「テレビの中にまでかき氷機持ち込むの?気楽だねえ」
「うわー足立さんうざっ。想像するだけタダじゃないですか。差し入れのアイス返せ。」
「はいはいうそでーす。これでいい?」
ひょうひょうと足立はアキの口車を躱す。にやにやと誰が見ても意地の悪い足立の目が、アキの汗ばんで肌に張り付くTシャツの胸元を凝視する。エロ親父め、と足立の汗が玉をつくる頬へと手の平を向かわせた。ぺちり、と水分を含んだ音がする。不服そうな足立がそのままアイスの最後のひとかけらを口に含んだ。
「残念、足立さん、ワンモアです。」
足立の甘い汁で汚れた唇を奪ってみる。今度は面食らった顔でアキを見る足立の顔は締まりがなかった。暑さのせいで考えがまとまらないのか、何なのか。アイスは返してもらいましたから、とそっぽを向くアキに、足立は何と返答すれば正解なのか分からずにいた。